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誉発動機取扱説明書 完全復刻版を購入しました!

こちらブログ更新ですが、既に2ヶ月ほどご無沙汰しており申し訳ありません。

ちょっとメインの更新が忙しかったのと、サスペンションの方は自ら上級編と敷居を上げたことで、更新が途絶えておりました。

二輪雑誌でサスの特集も出たこともあり、近いうちに上級編は更新予定です。

でもって、その前にちょっとだけこちらの話題をご紹介して置きます。

以前ちょっとだけ触れた”誉エンジン”ですが「誉発動機取扱説明書 完全復刻版」として発売されました。

実物はこちら

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もちろんまだ未開封ですけどね。

誉発動機とは!

もちろんこのタイトルでのうんちくはこの本には敵いませんので、管理人が知っているさわりだけご紹介します。

誉発動機に触れる前には栄発動機に触れないといけませんね。

栄発動機とは名機ゼロ戦のエンジンです。

空冷星型14気筒(7気筒複列)の中島飛行機製エンジンですね。

実働する栄発動機を積んだゼロ戦はたしか1機だけアメリカにあったと記憶します。

でもって、誉発動機は栄発動機の後継エンジンとして当時世界最高峰を目指して開発された空冷星型18気筒(9気筒複列)エンジンです。

栄発動機が最終栄三ニ型1230hp/2700rpmに対して誉発動機は2000馬力級を目指して開発し、最終的に誉ニ一型で1860hp/3000rpmとなってます。

ボア×ストロークは栄発動機と同じ130mm×150mmなので排気量は栄発動機27.86 L対して誉発動機35.8 Lとなります。

でもって何が凄いかと言うと

エンジン全体の外径をほとんど変えずに2気筒づつを追加していることですかね。

こちらは当時のゼロ戦の性能の一つである前面投影面積の少なさを維持したい海軍からの要望でもあったようです。

正直言って、外径を変えずに2気筒追加するってのは量産エンジンに対してレース用エンジンを開発するのと同じと考えて良いと思います。

元々、栄発動機自体も余裕を持って設計されている訳でもないのに、そこに2気筒を外径を変えずに無理やり押し込むのがどれほど難しい事かお分かりになると思います。

ほとんどクランクケース内部は部品が干渉しまくりで、そこを何とか知恵を絞って最小クリアランスを確保し成り立たせてます。

そこに回転数アップでの強度確保と2気筒追加分のシリンダーとシリンダーヘッドの冷却が必要ですから、この耐久性と冷却は最大の懸案だったと思います。

空冷エンジンなのでほとんど熱との闘いですし、後列は前列の間を通過した空気しか使えないので特に苦しかったと想像出来ます。

栄発動機でさえ950hp/2500rpmからスタートして200回転アップさせるのにかなりの時間を要しています。

たかが200回転ですが、強度と各部の潤滑、そしてそこに馬力上昇分の温度上昇が加わりますから困難を極めた事が予想出来ます。

でもって、誉発動機はそこから更に300回転アップです。

クランクケースも栄発動機と同じ外径で、更に2気筒分追加されている訳ですからとても馬力に見合うだけの強度を確保出来ているとは思えません。

おまけにクランクメタルも今みたいに銀メッキとかが出来るわけでもなく、ただの銅製でしょうから焼き付きとの闘いだったと想像します。

でもって、開発用エンジンも馬力測定が終ったものの、耐久保証も取れていない段階で量産GOの指示が出たようですから、文字通り”悲劇の発動機”と言えます。

その後、試作機に積まれて試験を繰り返す様ですが、懸案された問題が噴出して量産エンジンとしては当初の性能も発揮出来なかったと推測します。

合せて前述した通りのレース用のエンジンとも言える繊細な発動機では、戦争中期以降の物資と熟練工が乏しい状況に於いて性能を発揮出来る筈もないと考えられます。

そんな誉発動機ですが、技術者観点から観ると、当時の加工精度と材料でよくぞここまで限界設計をしたものだと惚れ惚れすると思います。

そんな内容がこの本にはぎっしり詰まっている筈なので今から楽しみなんですよ。

実は管理人、もう一冊永久保存版として手配中です。

そちらが届けば、開封しようかと楽しみに待っている状況です\(^o^)/

もう既に版元には在庫がないみたいなので、書店の在庫だけみたいです。

皆さんも興味がありましたらお早めにどうぞ。

kazySUS